岩多箸店が、お付き合いしているおすすめの塗り箸の産地についてお教えします

皆さんこんにちは。輪島は少し雨が降るようになり、急に秋めいてきました。ようやく暑かった夏も終わりですね。

今回は、岩多箸店がお付き合いしている塗り箸の産地についてお話ししたいと思います。日本にはたくさんの漆器の産地があるんですよ!

まず紹介するのは、「若狭塗」。福井県小浜市を中心としており、塗り箸の製造において日本一の産地です。その国内シェアは80%ともいわれており、まさに日本一です。皆さんが今使っておられるお箸も、塗り箸なら「若狭塗」の可能性は高いですよ。

私は、旅行へ行ったら全国各地のお土産屋さんによってお箸を見るんですが、かなりの割合で若狭塗のお箸です。岩多箸店の地元である輪島の朝市で売っているお箸でも、私が見る限りかなりのお箸が若狭塗ですから。シェアが高いことがうなづけますね!

私のイメージでは、卵殻や貝殻を使った研ぎ出しのお箸が代表的だと思います。うるしを塗った上に、卵殻や貝殻を蒔き、その上からうるしを塗り重ね、研ぎ出したお箸です。何とも言えない美しさがあるんですよね。

NHK朝のテレビ小説「ちりとてちん」で、主人公の実家が若狭塗職人の家でした。そこでおじいちゃん(米倉さん)やお父さん(松重さん)がお箸を塗っていた場面を覚えておられる方も多いんじゃないでしょうか。その時塗っていたお箸が、先ほどお話しした、私のイメージの若狭塗箸です。

話はそれますが、「ちりとてちん」、私は全部見ました。お箸が出てくるということに親近感があったから見始めたんですが、話が面白く、引き込まれるように見ました。今でも徒然亭草若さん(渡瀬さん)の落語が目に浮かびます。私が今現在、朝のテレビ小説を欠かさず見る習慣がついたきっかけになった作品で、思い出深いです。また、「ちりとてちん」の放送により、若狭塗箸の需要が一気に高まりました。これはすごい勢いでした。テレビの力はすごいんだと感心した覚えがあります。

お客様の要望により、当店も少し小浜のお取引先さまから若狭塗箸を仕入れしていたんですが、研ぎ出しのお箸が在庫不足となり、なかなか入荷しませんでした。また価格も値上がりが続き、最終的には二倍以上に上がって驚いたことを思い出します。

このおかげで、皆さんは気づかなかったかもしれませんが、お箸ブームになりました。その恩恵を岩多箸店も受け、研ぎ出しのお箸を中心に売り上げが上がり、ありがたいことに大忙しでした。「ちりとてちん」には本当にいい思い出しかありません。再放送しないかな~!

話を戻しますが、若狭塗は伝統的なお箸だけではありません。モダンな箸や機能的なお箸もたくさんあります。まさに日本一です。

私も何度か小浜市を訪問し、いくつかの工場を見学したことがありますが、規模が大きいことに驚かされました。また、お箸に関する展示物などが数多くあり、お箸の研ぎ出しの体験もできます。見どころ満載です。もちろん、海の幸も豊富で、食事もおいしい!みなさんもぜひ小浜に行ってみてください!

次に紹介するのは「津軽塗」。青森県弘前市が中心の産地です。

津軽塗には4つの代表的な技法があります。「唐塗」、「七々子塗」、「紋紗塗」、「錦塗」の4つです。この中で私のイメージにある津軽塗は七々子塗です。もっとも代表的な技法は唐塗なんでしょうが・・・。

ちなみに、七々子とは津軽地方で魚の卵という意味です。七々子塗は、魚の卵のような小さい丸い輪の模様がたくさん表現されている技法です。私はこの技法で作ったお箸が津軽塗では一番好きです。

ではなぜイメージにあるかというと、七々子塗と同じような模様のお箸を、一度作ってみたからです。技法は調べて大体のところはわかったつもりでいたので、その手順に沿ってやってみました。途中までは順調に進んだと思ってたんですが、結果、どうしてもきれいに輪の模様が出ませんでした。塗りが悪かったのか、研ぎが悪かったのかわかりませんが・・・。伝統の技は、なかなか簡単にはできないものです。

津軽には行ったことはないんですが、長年お付き合いしている会社がありますし、また、私ども夫婦で楽しんでいる「日本100名城」巡りにある弘前城があるので、一度は行ってみたいな~と思っています。

次に紹介するのは「会津塗」。福島県の会津地方を中心とした産地です。

会津塗にも4つの伝統的な技法があります。「鉄錆塗」、「金虫喰塗」、「木地呂塗」、「花塗」の4つです。しかし、私の会津塗のイメージは、加飾の技法である蒔絵やうるし絵のきれいさです。

会津塗には、塗り箸のイメージは正直少ないですが、種類は多く作られているようです。私のおすすめは、蒔絵やうるし絵がついたお箸です。

次に紹介するのは「山中塗」。石川県加賀市山中温泉地区が産地です。いよいよ石川県にきました。

この山中塗、私は塗りというよりも木地を挽くイメージが強いです。石川県には3つの漆器産地があり「木地の山中」、「塗りの輪島」、「蒔絵の金沢」と言われているんですよ。

また山中塗は、伝統的な技法とは別に、早くからプラスチックに合成樹脂の塗料を塗った合成漆器の生産も盛んで、生産量は日本一だそうです。

山中塗のお箸は、他産地と同様たくさんの種類がありますが、木地をきれいに見せたお箸が私のおすすめです。

次に紹介するのは「金沢漆器」。石川県の県庁所在地である金沢市が産地です。前田家加賀百万石の城下町です。

金沢漆器といえば、先ほども紹介したとおり、蒔絵です。髙蒔絵や研出蒔絵など、ほとんどの蒔絵の技法が使われており、貴族文化の品位の髙さや優美さを兼ね備えながら、武家文化の力強さも表現されているという特徴があります。豪華絢爛な加賀蒔絵、本当にきれいですよ!

金沢漆器は、室内調度品や茶道具が主な商品なので、残念ながら塗り箸はほぼ見当たりません。

「輪島塗」については、岩多箸店の地元でもあり、もちろんのこと思い入れもたくさんあるので、後日改めて書きたいと思います。しばらくお待ちください。

以上が、私どものお客様がいて、身近に感じているおすすめの漆器産地です。

その他にも、日本にはたくさんの漆器産地があります。北は青森県から南は九州・沖縄まで津々浦々です。

有名どころでは、岩手県二戸市が産地の「浄法寺塗」。ここは、日本産うるしの生産量が日本一で、約6割のシェアを誇っているそうです。輪島市でもうるしの木の植樹等うるしの生産に向けて頑張っていますが、なかなか進んでいないのが現状です。

浄法寺は原材料から製品まで一貫して漆器を生産できる唯一の産地です。

長野県塩尻市木曾平沢が産地の「木曽漆器」も有名ですね。シンプルで丈夫であるため、日々の生活用品として発展しています。もちろん、塗り箸もたくさんあります。私のイメージでは、木地をきれいに表現している技法がすごいな~と思っています。

和歌山県海南市の黒江地区が産地である「紀州漆器」も有名です。この紀州漆器でもっとも有名であると思われるのが、根来寺で作られていた「根来塗」です。朱塗りの下から黒塗りが見えるというあの何とも言えない風合いが私は大好きです。

他にも、「秀衡塗」・「越前漆器」・「京漆器」・「琉球漆器」等たくさんの産地があります。名前を挙げなかった産地の方、すいません。

このようにたくさんある漆器の産地の中で、塗り箸が主役なのは「若狭塗」だけだと思われます。さすが日本一の産地です!

岩多箸店では、今後も全国の産地に負けないよう、伝統的な技法を守りつつ、新しい塗り箸の製造や、輪島産地の発信を積極的に行っていきたいと思っています。