箸屋が子供箸の選び方を教えます

あなたは、お箸の長さを気にしたことはありますか?

人それぞれ使いやすいと思う長さは違うと思いますが、昔から、手の大きさによって使いやすい長さの目安があります。

この目安とは、指で測れます。

親指と人差し指を広げ、指鉄砲の形を作ります。

この時、親指と人差し指の角度を直角にします。

そこで、親指の先から人差し指の先までを測った長さを1.5倍すると、その人に合った箸の長さだと言われています。

この長さのことを「一咫半」と言います。

これは「ひとあたはん」と読みます。漢検に出てきそうな漢字ですね。

では実際に私が測ってみましょう。

長さが15cm×1.5倍=22.5cmとなりました。

今私が主に使っているお箸の長さが22.5cmですので、合っているということですね。

大人の箸の長さの目安は上記の通りです。

ではお子様のお箸の長さはどうでしょうか。

ここから箸屋として、私の考えをお話ししていきたいと思います。

 

なぜお子様のお箸の長さの話をしようと思ったかというと、もちろん箸屋だからということもありますが、輪島市保育士会の方々との出会いがあります。

輪島市保育士会は、平成21年4月から平成24年3月までを研究期間とした、「豊かな心の育ちを願って~指から育む食への一歩~」という論文を書かれました。

この論文は食育活動を主としており、輪島市内の保育所において、0~5歳児の子供たちについて調査し、研究されたものです。

この研究の一環として、お箸作りをしている岩多箸店に工場見学に来られたんです。

先生方は、お箸の原材料や作り方について熱心に見学されました。

また、そのお箸作りの工程をビデオで撮影されました。

このビデオは子供たちと見るためのものです。

また、多くの質問等も受け、お答えさせていただきました。

先生方とのお話しの中で、「持ちやすいお箸はどういったものでしょうか」という質問を保護者の方からよく受けるとお聞きし、やはり子供とお箸の関係は大切だと思い、私なりの見解を話したいと思ったんです。

 

この研究をまとめた、年齢別の重要点は以下の通りです。

0歳児~2歳児までは、お箸ではなく、手づかみとスプーンを使って食事をすることが多くなります。

このころ、5指すべてを使って「手のひらで握る」状態から、親指と人差し指で「つまむ」動作へと変わっていきます。

このため、指先の発達を促すことが重要となります。

ただ、子供の成長や発達は個人差が大きいため、一人一人に合わせた工夫が必要で、保育者が愛情をもって子供に対することが、発達には欠かせません。

箸をスムーズに使えるようになるには、この低学年の時期からしっかりやっていくことが重要です。

 

3歳児については、個人差はもちろんありますが、目安として、スプーンから箸への移行期となります。

箸とスプーンは持つときに使う3本の指が同じです。

また、えんぴつも使い方(力の入れ方)こそ違いますが、持ち方は同じです。

このスプーンやえんぴつを上手に持ち、使うことが、お箸の持ち方の土台となります。

一度くせがついてしまうとなかなか直すことが難しいので、持ち始めにしっかりやることが大事です。

ただ、注意して欲しい点があります。

「3歳になったら箸」という固定概念は改めなくてはいけません。

3歳児はまだ指にしっかり力が入らず、箸を上手く動かすことが難しいので、箸による食事に時間がかかり、集中出来ない面があります。

長時間の箸の使用は、子供に負担をかける場合もあります。

この点は特に注意が必要です。

 

4歳児になると、ほとんどの児童が箸を使って食事をします。

指先の力はまだまだ個人差や発達状況の差が大きく、一人一人に応じた対応が必要となります。

このころになると、指先の力加減をすることも覚えます。

また、このころから、集中力を養うことを目的とした指導も始まります。

 

5歳児では、引き続き指先の発達を促すとともに、食事のマナーなどを指導します。

「楽しい食事」と「食事のマナーの指導」を両立させることは難しいですが、食生活そのものが変化してきた昨今では、家庭で教えることにも限界があり、保育所での指導の重要性が増してきています。

また、それぞれの地域性を活かして「御膳会食」をすることにより、伝統行事を知り、輪島市の伝統産業である漆器にも興味を持ってくれたようです。

 

こう見てみると、よく児童のことを見て、指導に工夫を凝らし、個別に対応してくれていることがわかりますね。感謝感謝です。

 

上述の通り、小さい子供は指先の力が弱いので、しっかりお箸を持つことが難しいということがわかります。

このような状態で、自分に合わないお箸を使っても、上手には使えません。

そこで、お箸の長さが重要になってきます。

児童一人一人手の大きさを測り、「一咫半」の長さのお箸を使うのが理想ですが、なかなか難しいのが現状です。

そこで、輪島市保育士会さまと相談し、お箸の長さの目安を設定しました。

その目安とは、未満児さんは13㎝・年少さんは14cm・年中さんは15cm・年長さんは16cmの4種類です。

この長さは、平成22年導入以来、今も変わってはいません。

上記の写真が、実際に使用している乾漆箸になります。

 

平成22年から、岩多箸店の工場見学が縁で、当店のお箸を使用していただくことになりました。

使っていただいているお箸は「乾漆箸」。

お箸に、漆を乾燥させた後細かく砕いた乾漆粉という粉末を付け、その上から漆を塗って仕上げたお箸で、表面がザラザラして滑りにくく、食べ物がつかみやすいのが特徴です。

保育所の先生方からは、このつまみやすい乾漆箸を使って、お箸の持ち方もよくなったとのお話しもいただき、箸屋としてうれしい限りです。

また、この乾漆箸は、自然由来のお箸で、木製なので、お子様が誤って噛んでしまっても、安心です。

 

この乾漆箸をそれぞれの長さに仕上げて、毎年3月、輪島市内の保育所に納入しています。

これは今も続いており、令和3年度分も納入しました。

年々数が少なくなっているのが心配ですが・・・。

 

矯正箸やプラスチック製のかわいらしいお箸を使うこともいいですが、箸屋の私としては、お口に入れるお箸について、もう少し真剣に考えて欲しいと思っています!

 

またお箸の使い方についても最近いろいろな意見はありますが、箸屋の私個人としては、正しい持ち方が使いやすいと思うので、子供の頃から気を付けたほうが良いと思っています。

 

下記の写真は、当時の新聞記事になります。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

少しでもお箸のことを考える一助となればうれしいです。