岩多箸店では、お箸の修理のご相談を承っております

皆さんこんにちは。暑い日が続いてますね。夏バテしてませんか?

さて今回は、皆さんからお問い合わせの多い、お箸の修理について話したいと思います。

まず最初に言っておきたい事は、通常、お箸は消耗品であるということです。

お箸の先は、食事の時、お茶碗やお皿などの器に直接当たります。これが毎日毎日繰り返されるので、どうしても擦り減っていくんです。

また、お箸の先を誤って噛んでしまったり、何かに挟んだりして欠けたり、折れたりする事も多いと思います。皆さん、思い当たりませんか?

このように、お箸が傷むことのほとんどがお箸の先なんです。

一般的には、折れたりはげたりしたお箸は処分して新しいお箸に取り替えると思います。これが消耗品と言われる所以なんです。

しかしながら、記念日にいただいたお箸だったり、、素敵な手描きの蒔絵のお箸だったり、長年大事に使っていた愛用品だったりしたらどうでしょう。直して使いたいですよね!

そのようなご要望にお応えするため、岩多箸店ではお箸の修理のご相談を承っているんです。

ただ、全てのお箸が直せるわけではありません。また、買った時と全く同じようになるわけでもないんです。そのあたりは、お客様の要望とこちらの意見を合わせて決めていきます。

では、お箸の修理はどのようにして進んでいくかを話したいと思います。

今回の例の条件として、うるし塗りのお箸の片方が折れた場合についてです。

まず、お客様からのご相談を受け付けます。その時に、どちらで購入したかや、表面塗装は何かなどがわかればありがたいです。また、その時にお箸の写真があれば、その場で修理が可能かどうかの簡便な診断が出来ます。

このご相談で、修理が出来そうということであれば、当店に修理を希望しているお箸を送っていただくことになります。

こちらに着いたら、まずお箸の状態を一から調べます。写真ではわからないような傷や、木地に水分が入り込んで傷んでいたり、見えないヒビが入っていたりしたお箸は残念ながら修理できません。

この調査で、修理すればこれからも十分使用できるということであって始めて修理を始めます。

あ、まだありました。どのような仕上がりになるかをお客様に伝え、それでも大丈夫かを確認します。

ここまでで、何度もやり取りすることになります。ただ、ここまで決まれば、修理が終わるまで余程のことがない限りやり取りはありません。

いよいよ修理が始まります。ここからは前にも話したとおり、片方のお箸が折れたという前提の話しですよ。

まず、折れた箸の方から修理します。折れた部分を含めた箸先を削ります。箸先は細いでしょ。これに合わせるために、上の方から徐々になめらかになるように、小刀で削ります。鉛筆削りの要領です。

折れた方が綺麗に整ったら、次は折れてない方です。まずは長さを合わせて、箸先を切断します。短く切ってしまうと、直した方もやり直しなので、緊張の一瞬です。

同じ長さに切断したら、先程と同じようになめらかになるように削っていきます。この時、両方の削った部分が同じ太さ•同じ形状になっていないと綺麗に仕上がらないので、ここで削り部分は最終チェックです。

 

このチェックをクリアすると、ようやくうるしを塗っていきます。

その前に、これ以上うるしがはみ出さないようにマスキングテープを巻きます。このマスキングテープは、今後うるしを塗るたびに使用します。

お箸を削っているので、現状のお箸は木地が見えています。その木地の部分に、目止めとして生漆を塗ります。このうるしは、木地が吸いこむので、早く乾きます。

ちなみに、うるしが乾くといいますが、厳密には固まることを言うんですよ。

その後、下地うるしを塗ります。これも薄く塗るので、比較的早く乾きます。

乾いたら、次は中塗りです。岩多箸店ではここから上塗りうるしを使います。

これも乾いたら、軽く表面を磨きます。この時、凹凸など形状に気をつけます。この中塗りと磨きを三回繰り返します。

これが終わったら上塗りです。

注意点としては、うるしは乾く速さや環境により、色がかなりバラつきます。どうしても、直してない場所と色が違うんです。これでもいいとおっしゃられるお客様もおられますが、当店は、箸先に乾漆を付ける事を提案しています。これだと、色が変わっても問題ないし、丈夫にもなりますからね。

ここからは、乾漆を付ける修理の話しです。

上塗りが乾いたら、乾漆粉を箸先に付けます。これは、お箸にうるしを塗り、乾く前に乾漆粉を振りかけるやり方です。

これが乾いたら、この乾漆粉をしっかりくっつけるため、うるしで上から止めます。そしてまた乾かします。

うるしを乾かすという言葉をよく使っていますが、ただそのままにしておいているのではありません。うるしは、適度な温度と湿度がないと乾かないんです。固まると言う所以です。このため当店では、温度と湿度を管理したフロという部屋で、乾かすんですよ!

乾漆粉止めが乾いたら、その部分を磨きます。そのままではザラザラしすぎなので、口触りが良く、かつ食べ物が滑らないようにします。この磨き、繊細です。磨きすぎてツルツルにしてしまうと、やり直しですからね!

これで終わりかと思いきや、まだあります。

このあと、その乾漆粉を付けた部分にうるしを摺り込みます。いわゆる『摺りうるし』や『拭きうるし』と言われる工程です。

この工程を最低三回。状態により四回施します。

これで一回一回乾かし、最後にしっかり乾かしたら修理は完了です。

長い道のりでした。

ただ、一口にお箸の修理と言っても、これだけ長い時間と手間がかかるんです。

この話しは、うるし塗りのお箸で、お箸の先を乾漆仕上げにするものでした。ですので、別のお箸では違う工程があります。

最後にこれだけは言っておきたいことがあります。全部のお箸が修理できるわけではありませんが、ご相談はできますということです。

長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。これからも、皆さんの知りたいことに答えていければと思っておりますので、よろしくお願いします。

ショップバナー