塗箸製造は手作業の職人技工程が多い地道な作業です

岩多箸店は塗箸の製造メーカーです。輪島塗の生産地である石川県の輪島市内に工場があり、ほぼ全ての工程を岩多箸店で行い、箸を製造しております。

蒔絵

塗り箸を製造する工程には漆を多く使う為機械化ができず、ほとんどが職人の手作業の連続です。名入れやオリジナルの模様を入れたりすることもあり、手間ひまかけて作られています。輪島の塗箸を製造する工程をいろいろまとめてみました!

箸木地の選別

箸の木地は無垢の木材です。岩多箸店の箸は天然木で作られておりますのでもし噛んでしまっても安心!

選別

この工程は、木地屋さんに発注した箸木地が入荷した際の選別作業で箸先や木目を特に重点的に見ます。この時点であらかた不適合品を見つけてしまわないと、ロスにつながってしまいますので、重要な工程ですが、長い間この作業を続けると、目がチカチカします。

下地・中塗り・上塗り

 

通常箸木地は天然木ですので細かい穴や筋があり、そのまま塗料を塗ると美しく仕上げることはできません。まず下地を塗られ、乾いた箸は、「ガラ」と呼ばれる専用の回転機に1時間ほど入れられます。ガラの中には小さい部屋が8つあり、1部屋に400本、最大1600膳分一度に入ります。回転機に入れられた箸は箸同士擦れ合い、表面がツルツルとした滑らかな状態となります。そうすることで塗料が美しく塗れるわけです。その後中塗りや上塗りの工程に移ります。

箸に文字や絵柄をつける

蒔絵(まきえ)の作業です。塗箸に名入れをする工程も繊細な手作業の連続です。こちらは日本に古くから伝わる疫病退散の妖怪アマビエの版です。

アマビエ版

版に漆を塗り、その上で箸を転がすことにより、版の絵柄が付きます。デザインや文字の版さえできれば、かなり細かな模様でも、きれいにつけることができます。オリジナルの模様でも大丈夫です。

企業のロゴや社名、地域のPRのための名前入りなどいろんなオリジナル製品の箸を製造することが可能です。名入れの他には全すべり止めの無地の箸や、桜の柄も喜ばれるのでおすすめです。一見簡単そうに思えますが、文字がつぶれたり均等につかなかったりと力加減や漆の厚さの調整が難しい作業です。

総持寺版

蒔絵

こちらは石川県輪島市門前町にあります、曹洞宗大本山総持寺祖院さんの紋と文字入りのオリジナル名入れ箸の版です。このようなオーダーメイドの箸もよくご依頼を頂き作っています。オリジナル名入れ箸詳細ページ

↓動画はこちらからどうぞ↓

箸に金粉をつける

この工程は、漆で絵柄を付けた箇所に、金粉を付けているところです。

金粉

漆の乾き具合とにらめっこし、タイミングよく付けないと、金粉が光らなかったり、絵柄がぼやけてしまったりしてしまいます。漆にまんべんなく金粉を付ける必要がある気の張る作業です。この工程で、塗箸のミスや不良品の選別も行います。

乾いた後は、箸についた余分な金粉を拭き取る作業もあり、この工程できれいに拭き取らないと、商品として販売することができなくなります。この作業は、一気にたくさんの箸を処理しなければいけませんので、正確さに加えてスピードも要求されます。

コーティング作業

蒔絵により絵柄を付けた箸を、コーティングする作業です。

コーティング

「フネ」という道具の中に塗料を入れ、箸を一本一本出し入れすることにより、箸の表面に塗料を塗っていくんですが、箸をまっすぐ引き抜かないと、綺麗にに仕上がりません。あと、埃が着くと売り物にならないので、この作業をしている部屋に入るときは気をつけないといけません。乾燥や静電気の時期には毎年頭を抱えます。

漆を重ね塗りし色の深みを出す

この工程は、黄色の漆が塗ってある上から、緑の漆を塗り重ねているところです。

本塗

この箸の場合はこれからあと何色かの漆を塗り重ね、乾いた後研ぎ出して、きれいな模様を表現します。この塗り重ね工程を繰り返すことで色に深みが出て美しい塗箸になっていきます。漆が乾くのに一週間以上かかるので、塗り重ねはとても時間がかかる工程です。

塗料を使う工程もあります

この写真は塗料を混ぜているところです。

塗料

何度も塗り重ねて輪島の塗箸は作られますので、頑丈です。

お箸の頭を塗る


以前は手作業でやってましたが、今は多くの箸を頭を塗る機械でやっています。

頭の機械

頭の機械

この機械は、500膳の箸を30分で塗ります。効率は手作業の10倍以上になりました。そのおかげで大量の注文にも対応できます。

このように今でも天削げと呼ばれる頭が斜めカットのものや一部の箸は指に塗料を付け、一本一本手塗りしていきます。ふっくらとした感じを出すのが難しく、熟練の技が必要です。

ふっくら感を出して乾かすために、塗った面を真っ直ぐにしておくことが重要です。

塗料を厚く塗るので、泡が吹かないように注意しなければならないんです。

箸の先に滑り止め加工をする

箸先にすべり止めの加工をする作業工程です。よく言うすべらん箸ですね。

先すべりどめ

お箸一本一本、箸先に付いた余分な塗料を取らなければ、きれいな箸に仕上がらないので根気がいる作業です。

箸を研ぎ出す

こちらは塗箸を研ぎ出す工程です。この工程は、青貝を蒔き、その上から漆を塗り重ねたお箸を研ぎ出しているところです。

研ぎ出し

青貝

この作業により、漆の中から青貝がきれいに現れます。この工程は塗箸の仕上げにあたります。これで塗箸としては完成です。

完成した塗箸を箱に入れる

箱入れ

箸の完成品を桐箱に入れているところです。この工程で、箸の最終チェックをします。一見簡単そうですが、速さと正確性が求められる重要な作業です。桐箱に入っているだけで、高級感が一層でてきます。

結婚式の引き出物や記念品として重宝されています。自分の好きな箸で組み合わせてお作りします。こんな箸置きセットも人気です。納品の形はお客様それぞれですので箱もいろんな種類からお選びいただいたり、帯なしやバラやPP袋入などでもご希望に合わせて出荷しています。箱のラインナップはこちら

塗箸に色をつける

塗り箸にはいろいろな色を塗装することができます。この塗り箸の色をだすためには、ラッカーや合成塗料はまったく使用しておりません。すべて漆と自然の顔料を使っていますので、人の口に運ぶ箸でも安心してご利用いただけます。安心安全日本製の自慢の輪島の塗り箸です。

ノベルティグッズとして

ノベルティ(novelty item)としても輪島の塗箸は最適です。ボールペンやタオルなどのノベルティグッズに比べると意外感があってありがたみがあるという企業さんからの声をいただくことがよくあります。既製デザインの箸の他に、「企業が自社や商品の宣伝を目的として配布する記念品」としても名入れ箸をご検討いただけるとありがたいです。

名入れ箸サンプル

名入れ箸詳細ページはこちらからご覧いただけます。

ここからは輪島塗の本乾漆箸の工程をご紹介します。

木地:アテやヒバの木を、箸の形に削ります。岩多箸店では、輪島市内の箸木地屋さんから主にヒバを仕入れています。

木地


◆木地固め:箸木地に生漆を塗り、木地を固めます。この工程では、木地に漆を染み込ませ、これ以上漆が染み込んでいかないようにします。

木地固め写真


◆下地塗:木地固めが終わった箸を磨き、漆との接着を良くします。その後、輪島塗箸では、珪藻土を粉砕した輪島地の粉と漆を合わせた下地を塗ります。本うるし箸は、地の粉は使用せず、漆を数回塗り重ねます。

下地塗写真


◆中塗:下地が終わった箸の表面を研ぎ、中塗漆を塗ります。塗り終わった箸を、「締め風呂」に入れて乾燥させ、また研ぎます。この作業を数回繰り返し行います。

中塗写真


◆上塗:中塗が終わった箸に仕上げ塗りをします。ゴミやほこりが付かないよう、専用の部屋で塗ります。その後「締め風呂」に入れ、温度・湿度を管理しながら、一週間程度乾かします。

上塗写真


◆乾漆粉蒔き:上塗りが終わった箸に漆を塗り、乾く前に乾漆粉を蒔きます。箸の表面にまんべんなく乾漆粉が付くようにします。

乾漆粉蒔き写真


◆研ぎあげ:乾漆粉を蒔き、乾かした後、箸の表面を研ぎます。むらなく研がないと、きれいなお箸になりません。

研ぎあげ写真


◆拭き漆仕上げ:研いだ箸に拭き漆を施します。数回繰り返すと、艶が出てきます。

拭き漆仕上げ写真


◆天付け:仕上がったお箸の頭部をノコギリで切断します。その切断面に専用の塗料を塗り、乾燥したら乾漆箸の完成となります。

天付け写真


※今ご紹介した工程以外にも、いくつかの工程があります。このように漆の箸は塗って乾かしてを繰り返すことで、より丈夫になっていくというわけです。

 

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乾漆箸は滑りにくく持ちやすい為、ごはんを食べる際にも無駄な力がかからず無理なく食べられます。乾漆箸は滑りにくく持ちやすい為、高齢のおじいちゃんおばあちゃんや小さいお子さんにもおすすめです。岩多箸店の乾漆箸は輪島市の全ての保育所で長年採用されており、お箸のトレーニングや食育にも貢献しています。

岩多箸店の子ども箸